ソフトロック


郵便受けの戸をひょいと上げて、そこに見慣れた封筒を見つける。わたしの心は急に熱を帯びてきて、ドキドキする。
ああ、また会える。あのはやるような気持ち。たくさんの音。初めての顔。久しぶりだね、って笑える対面。
ドキドキする。そして感じるのだ。わたしは大好きで、大好きで、抱き締めたいほどに大好きで。
神様、ありがとう。
封筒の中には一枚の便箋と返信用の葉書が入っている。便箋の招待状を読んで、葉書にそれに対する答えを書くのだ。
答えは決まってる。もちろん、「出席」に丸印。
わたしは大事に封筒をバッグの奥にしまった。落ちて失くすことのないように。



「わたしのところにも届いたわ、招待状。リエちゃんも出席するんでしょう?」
小鳥をかたどった陶器の貯金箱を商品棚に並べ終えると、さなえちゃんはレジの近くの椅子に腰掛けた。
「うん!だからね、今からどうしようかなぁと思ったの。さなえちゃんはどうする?衣装とか歌とか」
さなえちゃんの勤める雑貨屋さんに、招待状を受け取ったその日に押しかけた。
だって、こんなにワクワクするのだ。一人で抱え込むなんて、少なくともわたしにはできない。リエのところにも届いたなら、絶対にさなえちゃんのところにも来ているはずだもの。
「ふふ。リエちゃんらしいよね、そういうとこ」
「そういうとこ?どういうこと?」
「歌よりも衣装のが大事なとこ。らしいよね。そこがいいんだけど」
相手がさなえちゃんだからこっちまでなぜか笑顔になってしまう。
うん、そうかも。リエは歌よりも、衣装の方に気をとられてしまう。自分らしい表現をするなら、歌よりも、音楽よりも、お裁縫の方が自信がある。自分が音痴だからっていうのも大きいんだけど。
「うーん、どうしようかな・・・。さすがにまだ届いたばかりだし、もうちょっと考えてもいい?」
さなえちゃんは天井を仰いでからわたしの目を見て聞いた。
「うん、もちろん。そうだよね、まだ早いよね。あはは、リエちょっと焦りすぎかな」
「ううん。そんなことない。わたしも分かるよ、リエちゃんの気持ち。ドキドキするよね、ポップンパーティって」
本当の本当に嬉しそうに微笑むさなえちゃん。だからね、それが本物の気持ちからの言葉だって伝わってくる。リエが勝手に喜んでいるから頷いてくれたんじゃなくて、さなえちゃんもポップンパーティを心から楽しみにしているんだ。
体の奥底から湧き上がってくるドキドキ。それをくれるのが「ポップンパーティ」なのだ。
わたしは今年で、このパーティに呼ばれるのは5回目になる。第1回目の開催の時から毎回呼んでもらっているから、お馴染みの顔も増えた。
あの大スターのマリィさんとジュディさん、それにお茶の間の人気者、ミミさんとニャミさんと友達になれたのも、全部ポップンパーティのおかげだ。
さなえちゃんとの話しはそこで終わりになった。カランカランと扉のベルが鳴ってお客さんが入ってきたからだ。
店員と親しげに話している人がいると、その場に居づらいお客さんもいる。だからこの日は手を振って帰ることにした。
衣装、どうしようかな。今回もさなえちゃんとお揃いのお洋服を作れるといいな。
「ふふふ」
やはりどうしても、自然と込み上げてくる笑みを抑えることができなかった。
ソワソワする。ドキドキする。ああ、ポップンパーティが始まる・・・!


「あの、ね。今回はお揃いじゃない服をお願いしてもいいかな?」
それが電話で良かったと、受話器を握りながらぼんやりと思った。
「・・・うん、いいよ」
「ごめんね、気を悪くしちゃったよね・・・」
何かお揃いじゃダメな理由があるのだろう。それは分かるのだけど、ショックな気持ちは隠しきれない。
どうしようかあれこれ浮かれて考えている最中だったから余計に。
「わたしはね、リエちゃんの服が大好きだよ」
「うん」
「お揃いがイヤってわけじゃないの。リエちゃんとおんなじ服を着れるのはすごく嬉しい」
じゃあ、なんで?
聞きたかったけど、さなえちゃんに嫌味な友達だと思われたくなかった。そう思われて拒絶されるのが怖くて言葉が出なかった。
だから、「うん」と同じ音を繰り返すだけ。
「いつもね、リエちゃんの服を着て出席できることが誇らしいのよ?」
「うん」
「リエちゃんは、いい子だから。わたし、こんなこと言ってるのかも。わたしの衣装を喜んで作ってくれてるのを知ってて。
お揃いだねって微笑んでくれてるのも知ってて、それでこんなこと言うんだから。
わたし、リエちゃんみたいな子になりたかった」
「・・・」
小さな声だった。けれどそれはちゃんと意味のある言葉になってわたしの耳に注ぎ込まれた。
落ち込んでいるのは、さなえちゃんも同じなのだ。気分を悪くしても、それでもわたしにわざわざ伝えたかったこと。
「・・・ごめんね。なんだか白々しいよね、・・・もう、何も言わないね。ごめんなさい」
カチャンと電話線の向こうで受話器の下りる音がした。
さなえちゃんは何も悪くない。さなえちゃんなりの覚悟を持って、ポップンパーティに出席しようと思っている。
わたしだって軽々しい気持ちでいたわけじゃない。それでも、ただ浮かれているだけの自分がどうしようもなく幼く思えた。
こうやって整理する今だって同じ。心の奥で、お揃いを拒むさなえちゃんに対する「どうして?」の答えを期待するわたしがいた。
まるで隠し事をすることが裏切るように錯覚してる。脳がもやもやする。
「・・・なんか、ヤダ」
そんな自分が許せなくて、タンスの横にある赤い棚の引き出しを引いた。
そこにはレコードが入っている。とびきり元気で明るい曲を聴こう。
スランプになったり気分が沈んだりすると決まってレコードをかけた。すると少しずつ、胸の中の絡まったものがほどけていった。
空を突き抜けるトランペット。地べたを叩くよりももっと力強いドラム。
うん、うん・・・ほら笑顔になれる!


回復しかけたころに、またドスンと重い麻袋が落ちてくるなんて。神様はいじわるだ。
そういうことにも関与しているのがわたしたちのよく知っている「神様」だったなら、なんとか説得してやめてもらうのに。
ああ、でもやっぱり彼にならはぐらかされてしまうのだろうか。

どうしようか散々考えて、このままじゃダメだと思った。ケンカになってしまうならそれで構わない。そうしたらまた仲直りすれば良いのだ。
足が震えた。でも、電話じゃ伝わらないと思った。だから、会うことに決めた。
さなえちゃんに直接会うのに一番手っ取り早いのは、バイト先の雑貨屋さんに行くこと。
さなえちゃんのバイトの入っている曜日と時間帯は知っている。そしてこの日、この時間は雑貨屋さんにいることも。
普段は立ち止まってよくよく観察することのない、入り口前の外観。店名の看板の字体がこんなに可愛いなんて気づかなかった。
そういえば、いつもここに来る目当てはさなえちゃんだったからな。さなえちゃんの顔をすぐにでも見たかったから、走るように扉をくぐっていた。
深呼吸をして、ドアノブを見据えた。意を決して扉を開ける。
カランコロン。
ああ、折角括ったお腹も緩んでしまいそう。わたしはどうも、この柔らかなベルの音が好きみたい。
「あら、リエちゃん」
「え?」
思っていたのと違う声が飛んできて、面食らってしまった。
「あの、さなえちゃんは?」
ふっと緊張の糸がたるむ。レジの前にいたのはさなえちゃんではなくこのお店の店長さんだった。
わたしはしょっちゅうこのお店に来ているので店長さんからも顔と名前を覚えられていた。
「ああ、さなえちゃんね。今日はお休みをとったのよ。友達と約束があるって。わたし、てっきりリエちゃんのことだと思ってたんだけど」
聞いていない。ズキンとわずかに軋んだ。もしかして、さなえちゃんはわたしを避けているのではないだろうか。
考えすぎ。らしくない。リエだったらそんなことでくよくよしない。
泣きそうになるのを、下を向いてこらえた。
さなえちゃんだから、だ。彼女の周りはいつでも心地よくて、暖かで、笑顔になる。彼女のとなりにいるのはいつだって必然的にわたし。
いつからそんなに独占欲が強くなったの?
カランカラン。それだけが耳の中で響いたのを覚えている。わたしは、店長さんに何も言わずに店を飛び出していた。まるで逃げ出すみたいに。

キィキィと、鎖と鎖が互いを慰めあっていた。
ああ、あなたたちも寂しいのね。そう思うとほんの少し気分が落ち着いてきた。
何も考えずに公園まで歩いてきて、くたびれたからブランコに座った。
「リエ?」
かけられた声に顔を上げる。
「ベルちゃん?」
日が差してきらきらに輝く金色の髪の毛。まるで川の流れみたいに、きれいなストレート。
肩からショルダーバックをかけて、それとは別に白い手提げも持っている。
あの小鳥のブローチ、どこかで見た覚えがある。どこで見たんだっけ?
「リエにね、言いたいことがあったの。時間、いいかしら?」
なぜか声に出すのが億劫だったから、その代わりにこくんと頷いた。
「サナエはね、言わないでって言っていたのだけど、私は、それはよくないと思ったの。だから、言うわね」
ああ、思い出した。そのブローチ、さなえちゃんのバックについていたものと同じだ。
「可愛いね」って褒めた覚えがある。「ありがとう」って照れくさそうに笑ってくれた。
「ポップンパーティにね、私も呼ばれたの。」
ベルちゃんの歌。一度だけ、聞いたことがある。大人っぽくてリエとは正反対の深い歌声だった。
わたしはいっぱい拍手を送った。さなえちゃんと二人で、もっとだれかに聞いてもらえばいいのに、と賞賛した。
そっか、あのベルちゃんだ。ポップンパーティに呼ばれるのは当然。
「サナエたちみたいに『ジョウレンさん』ではないから、どうしたらいいか分からないって言ったら手伝うよって言ってくれて。
私ね、嬉しかったの。それで、サナエが作った曲に、私なりに歌詞をつけたりして。そうしたら一緒に作ろうって言ってくれた。
だから最近サナエが忙しいのは私の手伝いをしてくれているからで・・・。あの、それと」
リエがずっとさまえちゃんと出会えないで悶々している間、さなえちゃんはずっとベルちゃんのそばにいたのだ。
ベルちゃんは、さなえちゃんの声を、歌を聴いて、時には笑いかけられただろう。
その場に自分がいないことが、こんなにも悔しくて悲しいなんて。
「リエだって、さなえちゃんと一緒に曲を作ったこと、あるよ」
「え?」
・・・自分は、何を言っているんだろう。これじゃただの対抗心からの自慢じゃないか。
もう、ベルちゃんのそばにはいられなかった。自分がだんだんいじわるな人間になっていく。
今やっと、はっきりとした輪郭となって現れた。わたしは嫉妬してるんだ。さなえちゃんを奪ったベルちゃんに。
「あの!ご、ごめんね、リエ、もう行かなくちゃ」
「リエ・・・!?」
わたしはまた逃げ出した。背中からベルちゃんの引き止める声が聞こえたけれど聞こえないフリをした。
自分は何をしたいのだろう。ベルちゃんからさなえちゃんを取り返して仲のいいところを見せ付ければ、この気持ちは収まるのだろうか。
そうじゃないことは分かってる。でもどうしたらいいのか分からない。
あれだけ楽しみにしていたパーティなのに、急に考えるだけで憂鬱なものになってしまった。
木にとまっていたカラスがギャーと鳴いて羽をばたつかせた。わたしの耳には、街の賑やかな声よりもよっぽど心の休まる響きだった。



気づけば毎日同じ曲を聴いている。
アップテンポの元気なジャズロック。
それはつまり、逆に言えばわたしの気持ちが沈んで沈んでなかなか浮上できないことを意味していた。
最近、さなえちゃんと話しをしていない。
最後に話したのはあの電話。気持ちが引っかかったまま切れた通話。
まとわりつく釈然としない思いは、複雑にからまった毛糸球よりも難解だ。
もうすぐポップンパーティなのに。さなえちゃんの服はもちろん、自分のことも手につかなかった。
さなえちゃんのことばかりが脳のすみをちらちらと掠めていっているから、なおさらなのかもしれない。
わたしにとって、ポップンパーティに「さなえちゃん」の存在はつきものだった。欠かすことの出来ない重要なエッセンスの一つなのだ。
衣装があって、曲があって、となりにさなえちゃんがいて。それでこそパーティがもっともっと楽しくなる。

その沈みようが、少なくともスギくんには伝わっているらしい。スギくんに呼び出されて行った喫茶店で二杯目の紅茶を頼んでいる時だった。
「リエちゃん何かあったでしょ?」
「なんで?」
「顔がこう、むすぅーってしてる。リエちゃんって不機嫌が顔に出やすいんだよね」
スギくんがわざとらしく鼻にしわを寄せた。きれいな顔をしているのに、その顔はすっごくブサイクだった。
「えー、リエそんな顔してるの?」
自分としては普段と何も変わらないようにスギくんと話しをしているつもりだったから、心の内側を覗かれたようで恥ずかしくなった。
しかもそれがスギくんなんだから、リエの心境は穏やかじゃありません。
両手でさっと自分の頬を覆った。
「まあ・・・ここまでひどくないと思うけど。言ってごらん、お兄さんが相談に乗りますよ?」
トントンと胸をたたく。おどけたような、それでもお兄さんの顔。
うう、ずるい。リエがその顔に弱いってこと知ってるのかなぁ、この人は。
スギくんなら知っていてやっているような気もする。それでも、だまされて心が少しでも洗われるなら、わたしに拒否する理由も権利もない。
「最近ね、さなえちゃんと会った?」
「・・・ん?相談だよね?なんでいきなり質問・・・」
「いいから。答えて。」
少し強い調子で言ってみる。スギくんは目を丸くして、小さく鼻を鳴らした。
「会って、ないかなぁ。そういえばさなえちゃんの顔見てないかも。」
テーブルに肘をついてわたしの顔を見ずに答える。
「リエもね、会ってないの。さなえちゃんはずっとベルちゃんと歌の練習をしてるんだよ」
わたしが黙り込んでから数秒後。その先自分が答えないかぎりリエが話さないことを察したのか、スギくんは口を開く。
そうなんです、スギくんの答えを待ってるんです。
「・・・それはつまり、ベルちゃんに嫉妬してると?」
「・・・うぅ・・・」
答えを要求したのはリエ自身だけど、ストレートすぎる。顔がくしゃりと歪んだ。それは自分でも分かった。
「そうかそうかーそういうことか。なら寂しいって言えばいいじゃない。リエちゃんは意地っ張りでもなんでもないんだし」
「ちがう!」
おどけた調子で言うスギくんに、つい感情的に叫んでしまった。一緒にテーブルを叩いてしまったので、周辺の席の人たちがちらりと視線を送ってきた。
恥ずかしくなって、真っ赤な顔のままテーブルに突っ伏す。
「そういうことじゃ、ないの。そんなに簡単に解決するようなものじゃないの。もっと根本的にリエが悪いの。
さなえちゃんはさなえちゃんで正しくてなんにも間違ってなくて。ベルちゃんだって一生懸命なの。
それならリエだって精一杯やればいいのに、ダメなの。不安で不安で仕方なくて。どうしたらいいのか分からなくて。まるで一人ぼっちにされるみたいに心細くて。どうすれば、いいのかなぁ・・・」
弱音を吐くつもりはなかったのに、ぽろりと涙の粒が落ちた。
「そっかぁ」
叱ってくれたら・・・良かったのに。笑うでも良かった。
「うん、うん。大丈夫、大丈夫」
それなのにスギくんは、子守唄を歌うようにそう言って頭を撫でてくれて。だからわたしははじかれたように、気が済むまで泣き続けた。
ぽすんぽすんと頭にかかる手の平が温かくて、スギくんの声がとびきりに優しくて、まるで生まれたばかりの赤ちゃんに戻ったような気分だった。

「ねえ、リエちゃん、」
「ん」
泣きはらしたからだろうか。頬が上気して顔面に熱を帯びていたので、冬なのにアイスティーを頼んだ。
それを飲んでいる最中にスギくんが呼んだのだ。
「ケーキ食べにいこう!」
スギくんが子供っぽくにっこりと笑う。
「え、でももう食べたし・・・」
スギくんに空になったケーキ皿を指し示した。喫茶店に入ってすぐに注文したものだ。
シファンケーキがおすすめと書いてあったので、一番好きなチーズケーキではなく自家製シフォンケーキにした。
「んーこんなのじゃなくてもっとおいしいやつ」
味に厳しいスギくんはずばっと言う。確かに少し甘ったるい気がしたけど。
「ってことで会計すませて行きますか」
わたしの手を引いて席を立たせると、返答も待たずにさっさとレジに向かって歩き出す。わたしは呆気にとられながらもスギくんの背中を目で追った。
スギくんはいつもそうだ。何かひらめくと、絶対にそれを途中でやめたりしない。一人でも背筋をぴっと伸ばして迷いなく歩く。
わたしは置いていかれたくなくて、急いでテーブルに散らばったポータブルMDプレイヤーと携帯電話を手提げに詰め込んだ。
こうやって後ろから眺めると改めて、スギくんの歩くのは早いのだと気づく。ぼやぼやしていたらあっという間に置いてけぼりにされそうな。
「・・・待って!」
小さく悲鳴を上げる。焦燥感に襲われた。
(スギくんが一人で行っちゃう・・・!)
普段はこんなこと感じたりしないのに。
はっとする。
ああそうなんだ。同じ。わたしはベルちゃんにさなえちゃんをとられたことがイヤなんじゃなくて、
さなえちゃんとベルちゃんに置いていかれたような気がしてイヤなんだ。
だってあの二人は並んで歩くととても絵になる。かっこよくて憧れる。それと同時に、もしリエがあのとなりにいたらどうなんだろうと考えてしまう。
普段なら首を振って直視することのないそれに、さなえちゃんと距離を置くことでどうしても目に付いてしまった。みんながみんな迷いなく歩く中で、困惑して歩むのを恐れる自分がいる。
わたしはいつも、何かに躓くと「行かないで」って助けを呼ぶ。それに一番に気づいてくれるのがさなえちゃんなんだ。振り返って、柔らかな笑顔で「大丈夫よ」って手を差し伸べてくれる。
でも今は、できない。わたしの「行かないで」はきっと彼女に届かない。伸ばした腕が宙を切る様を想像しただけで体が震え上がる。
置いていかないで。一人にしないで。ねえ、待って。
今まで目の前にいた人がどんどん遠くへ行ってしまう。
(スギくんまでいなくなったら・・・)
つい小走りになる。ほんの数メートル走っただけなのに肩で息をしていた。お店の入り口にスギくんが立っているのを見つけて、また泣きそうになる。
「そんなに急いだってケーキは逃げないよ?」
笑いかけてくれたスギくんに返した笑顔は中途半端に歪んでしまった。



続き



アトガキ
長いので今回は前・後編に分けてみました。
書いてみたかったんですよね。ポップンパーティの話。
やっぱりポップンはパーティをしているのを想像できるのがいいです。
他の方のお話を呼んでもパーティの話は特別にドキドキするんですよね。
これはパーティの前の話ですが、そんなふうに思ってもらえたら光栄です。




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